あらためて文字にしてみると、あるいは、まじまじと眺めてみると、 慣れ親しんできたはずの言葉が、いつもとどこか様子が違って見えることがある。 声にしてみると確かに、これまでと同じ音声が発せられる、だが 一度、その言葉の持っている異様な顔立ちを垣…

20代は滑り込みでたくさん、旅行をすることができた。 ありがたいことだ。手を合わせてみる。 納豆を同僚が託送してきた。 涙がでるくらいうまい。手を合わせてみる。

新政権になり、金融政策がいくつか計画されているようだ。 先の衆院選から、円安がずいぶんと進んでいる。 この政策に対して、円を売っておいたほうがいいと市場が判断していると読めるけど、 外国為替での利回りは、突っ込む額が大きくなければ、あまりおい…

ビンゴ大会を主催し、プロジェクト関係者を呼び出す。 古典とも言えるこのゲームで、交流をしようじゃないかという企画だった。 賞品を用意し、カードを印刷、くじ引き式の番号を用意し、音楽をかけ、ライティングをセットし、 ケーキやお菓子を作ってもらっ…

カラオケ人間の襲撃。この耳障りな文化の一つをいかに対処するべきだろうか。 遠くでファジーな音質に合わせて、まぬけな歌声を披露し、拳を握りしめている人々がいると 思うだけで、深い吐息がでるというもの。なんでも最近はインターネットで新しい曲をダ…

寒くなったというのに、部屋に扇風機がまだ置いてある。 今は使っていないが、中々魅力的な形をしている。 冬の扇風機はどこか白々しくちょっとしたオブジェのようだが、 バルセロナパビリオンの彫像の替わりに扇風機を置いてみるわけにはいかない。 ヨーロ…

正月過ぎに帰国することとなった。 ようやく、ひと区切りといったところだ。 色んなことを学ぶことができた、感謝したい。 落ち着く暇はなさそうだ。次

よく旅先でアメリカ人と出くわすと、どこから着たのかという話になる。 I'm from Tokyo.と言えば、ワオ、クールだ、となるのに I'm from Motosumiyoshi.だと怪訝な顔をされる。 また、先方にサウスカロライナから来たなどと言われると、話はそこで終わってし…

Claude Nicolas Ledouxの仕事である、Arc-et-Senansの王立製塩所を訪れた。 この建築家はエミールカウフマンの仕事により知られるようになり、 また後期20世紀によく、パノプティコンなどと引用された。 革命建築などと銘打たれる時、安保闘争期の時代精神…

手術室の視察をする。ブルーのビニールでできた合羽のようなものに シャンプーハットのようなものを身につけ、内部を細かく見て行く。 さすがに日本から招聘した外科医は手慣れている。 ドアを開けると、既にご臨終の若い女性が横たわっている。 よくあるこ…

師走はなぜか、師走といいたくなる。 と書き始め、「師走 由来」などと検索すると忽ち、 ご丁寧なことに教えてくれるようなページに出くわす。 辞書の類はネットには向いているようなのだが。 知りたい意味のわきに、「金利2%、今だけ」,「天国に行く前に買…

Matisseが過ごした街、ニース。 天国のようにまっ青な見晴らしの中、この画家に由来する教会を訪れた。 写真で大きな壁に大きな画を描くため、 この画家は筆に長い釣り竿のようなものをつけて、 ストロークを描いている、そんなのがあった。 手の振動や身体…

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)作者: ガブリエルガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,鼓直出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/12/01メディア: 単行本購入: 25人 クリック: 269回この商品を含むブログ (277件) を見る血が途絶える。名をな…

Abbaye du Thoronetの巨大な石を刳り貫いてできたような堂内は、 工業製品を組み立ててできた内部とはまるで違っている。 ヴォイドって表現がしっくりくる。 この確信は資料を読んでいてもなかなか、分からなかった。 工業製品とはまるで違うといってみたも…

こいつはMaison Louis Carreにおいてあったその模型だが、 えらく痛んでいる。しかし未だに熱気を帯びているかのようだ。 安っぽく、精度も狂い始めている上、汚れている。 良い模型はバカみたいにでかければ良い訳でも、精度が良ければよい訳でもなく、 ま…

ParisでPierre Chareauの仕事を訪れる。本人がどんな気分でこいつをつくったのかしらないが、 古いコメディを眺めている時の優しい笑いを誘っているかに思えた。 いつも、英雄のように振る舞おうとする建築の強さはそこには不思議とない。 人に見つからない…

今、私はイスタンブールのホテルにいる。 久々によく歩いた。いや文字通り、久しぶりに歩いた。 だが、もう滅多なことではいちいち、異国情緒を感じず、 この不感症を少し呪いたくなる。 異国で寿司屋や中華料理屋を探してしまう傾向は決して誉められたもの…

遊びと人間 (講談社学術文庫)作者: ロジェカイヨワ,多田道太郎,塚崎幹夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 1990/04/05メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 127回この商品を含むブログ (75件) を見るまず最初に弁明したい。私は北欧へ行った。昔の記憶が再生さ…

暗い時代の人々 (河出・現代の名著)作者: ハンナアレント,Hannah Arendt,阿部斉出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1995/11メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 公共、この言葉が本来もっているべき意味はなんだっただろう…

友人とはかつて自分が選択しなかった自分のことではないか。 とそんなふうに最近は感じる。 それは塩コショウのわずかな分量差によって起こる偶然の産物なのではないか。 この仮説は自分を自由にする。

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)作者: 網野善彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/07/06メディア: 文庫購入: 22人 クリック: 380回この商品を含むブログ (186件) を見る農本主義的な社会は、封建的に世を統治する上で 実に便利な支配の形…

ヘルシンキ中央駅で旧友と落ち合う。 エリエル・サーリネンの設計した奇妙な建築を背景に ひとときの北欧を過ごした。 涼しげな自然やそこに佇む建築を見、心洗われるようだった。 残された時間の中で、あといくつの街を訪れることだろう。

宿命の交わる城 (河出文庫)作者: イタロ・カルヴィーノ,河島英昭出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2004/01/07メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 408回この商品を含むブログ (34件) を見る小林秀雄全作品〈1〉様々なる意匠作者: 小林秀雄出版社/メーカ…

ラマダン休暇に入り、かつ一時休暇が重なる。 16連休という、空前のヴォイドが発生したにも関わらず、 私の身柄は未だ持って拘束されている。 休み方もよく分からぬままに、今日もリスはPCへ向かい、 冬の支度をせっせと始めるのである。

調味料がレストランのテーブルなんかには いくらか置いてあるだろう。 塩や胡椒、コーヒー屋なら砂糖やミルク粉といった具合に。 僕はあれはあまり使わない質だったのだが こちらに来て、ずいぶんと頼るようになっている。 七味唐辛子、黒こしょう、からし、…

最近は、家を買おうという話をする人がチラホラ出て来ている。 が30年後にどんな経済情勢に日本がなっているのかが クリアに見えない中、先進国時代の水準のローンを、 後退国時代になって所得が下がってからも背負わなければならないなんて、 気が重いよ…

古寺巡礼 (岩波文庫)作者: 和辻哲郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1979/03/16メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 166回この商品を含むブログ (52件) を見る言わずと知れた名著中の名著。 和辻、齢30にして、知人たちと国内の古寺を訪ね歩き、 記した印象…

なぜ古典を読むのか (河出文庫)作者: イタロ・カルヴィーノ,須賀敦子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/04/05メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (18件) を見る訳者である須賀が打ち上げるように、本書はカルヴィーノが取…

料理はするの?との問いに お好み焼きはつくりますとどこぞのアイドルが答える。 あんなもん料理じゃねえと、爆風スランプ中野君。 これは、それがお好み焼きだけに、なるほどと思わせるものがある。 お好み焼きは食い物だし、腹も満たされる。でも料理じゃ…

友人とスケジュール調整。 お互いがオーダーされているスケジュールを 金庫の目盛りをあわせるかのように、チリチリと整える。 オーロラというより白夜になりそうだ。 田原総一朗のラジオのようなものを聴いてみた。 すると、音楽は爆弾だ。人を変えてしまう…