師走はなぜか、師走といいたくなる。
と書き始め、「師走 由来」などと検索すると忽ち、
ご丁寧なことに教えてくれるようなページに出くわす。


辞書の類はネットには向いているようなのだが。
知りたい意味のわきに、「金利2%、今だけ」,「天国に行く前に買おう、墓」「聞くだけでしゃべれるスリランカ語」などと
私の購買意欲に向けてとんちんかんな全力投球してくるバナーが貼ってある。
すると、辞書に書いてある意味すらも信憑性が危ぶまれる。


辞書という空間は、営業で汗を書いているような暑苦しい言葉はご遠慮願いたいものだ。
羊皮紙の辞書は高名なお坊さんがずらりと並んでいるかのように、
「扇風機」:プロペラを旋回させ、風を発生させる装置。風呂後に利用すると効果大。
などと、しかめっつらのお坊さんが律儀に、情景豊に説明した後、また先きの険しい表情に戻って、
他の文字の彼方に消えて行く。この単純だが、信頼出来るものしかいない安心感がいいのだ。
よだれを垂らした阿呆がしゃしゃりでてくるような場ではないのだが。