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- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/07/06
- メディア: 文庫
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実に便利な支配の形式だったのだろうと思える。
民に土地を与え、石高から今日的に言う所の税を払わせる。
本書の中には、漠然と「日本」に対して持っている我々のイメージを修正させる力が漲っている。
農業を規範とした社会の形成、コミュニケーションやモラルの設定が
潜在的に私たちの現在の周囲にも依然として強く残っている。
一方で、と網野は指摘する。稲作だけが私たちのご先祖の産業だったわけではなく、
そこには漁業や林業を生業とした人々も多くおり、こうした雑多な庶民の総称を百姓といっていたそうだ。
にもかかわらず、現在では百姓の子といえば、農業をやっているようにしてとらえがちだ。
この百姓って言葉にたくされたイメージは、まるで稲作に必要な共同体に属することが社会を生きることだという
暗黙の了解をおしつけてきはしないだろうか?そんなことを相変わらず考え、酒を飲む。