モノカルチャー、どこにいっても同じような顔、服、音楽、頭の中も
好きな食べ物も、行きたい町も皆同じ。きっと子供につけようと思っている名前まで同じだ。モハメッドだ。
君もモハメッドかい、僕はマホメッドだけど、あいつはムハンマドっていうんだぜ。
久々の東京メトロで真向かいに座っている人々をひとしきり眺めた。
吊広告で日本が今どうなっているか状況把握し、ああ、シングルマザーのドラマで主演は永作博美か。
どこかの会議室で示し合わされたこういった閉鎖的な現状認識が毎日毎日されているのだろう。
今はこういう時代ですよ、と人から聞いてそうなんだと分かったような気になっている。
おもしろいもので、そういうものをアリバイにして自分を納得させている。
石川と田中といったガールズバー(キャバクラみたいなもん)で傑作だったのは。
女優を目指している女の子が、地球温暖化じゃないですかあ?!女優業も減ってってというロジックに遭遇したことだ。世界はきっとこういう形をしているんだと教え込まれた集団といっしょにいると世界はそういう形になっていくのかもしれない。


本屋が傑作だ。どこの本屋にいっても、本に乗っている人は全部同じで、
ちょっとずつ言い方を変えているけど、同じことをいっているんだ。
俺の本買ってくれ、って言っているんだ。読書は図書館で借りてすればよい。


上海の一泊300円のホテルで一緒になったフランス人カップルに聞いた。
君たちはどれくらいここにいるの?
2ヶ月だよ。次はモンゴルにいってからベトナムにいくんだよ。
学生なの?
これまでずっとこの旅行をするために働いてきたので今は仕事はしていないんだ。
戻ったら何かやるつもりだよ。
将来が不透明だけど、君たちはしあわせなのかい?
ええ、とっても。ならいいんだ。


こういうヨーロッパ人がごろごろいるが、目は不安げだ。ならちゃんと働けよと言った。
一方で働きたくても仕事がない。仕事で稼げれば学校に行きたい、仕事があったらぜひ紹介してくれ。
という人がいる。年収75万だそうだ。友人がレバノンで印刷工場をやっているが
そういうのでもいいかとたずねると、もちろんだ、という。
生きることに必死な人たちと一緒にいると、心が洗われるようだ。


昔、宮崎駿がなんかで言ってたけど、大きなものや広大なものに遭遇すると人はシンプルなことしか
言わなくなる。お金がたまったら自分と周りの人の成長のために使おう。




短編。
物語を考えて、編集社に持ち込む男の話がある。
こいつがやけに、おもしろい。
そうだよな、誰かが考えているから物語が生まれてくるんだなと
当たり前のことに驚いた。


物語があるならば、明日には悪漢に襲われて、連中のアジトにある牢屋に監禁されるかもしれない。
過ごしながら、ときどきもらえるまずいパンと水で私は壁に絵なんか描いてみるかもしれない。
見つかるとコッピドク連中にしかられるので、隠れながら小さい絵を描くのだろう。
そこで知り合った、洗濯物を取りに来る女とある日脱獄を決心し、リオデジャネイロに暮らすことになるかもしれない。コーヒー豆でも栽培しながら、昔日本という国があってなと息子に話しているかもしれない。
皆が今スターバックスで飲んでいるコーヒーは私の畑でとれたものなんだよなどというくらい、なんてことはない。