トスカーナ周辺を巡った際の旅行を思い出しながらかいておこう。
目的地としては少々、恥ずかしさを感じる。
「あらやだ、あの子ったらミケランジェロですって」
「いやあねえ、さっきまでコンビニ弁当食ってたくせに」
後ろ指さされでもしているかのようで、気の重い旅路だった。


叱られにいったようなものだ。
ガイドブックに紹介されているどれを見ても、怒られたような気分になる。
なんだか段々、書くのが億劫になってきてしまった。だからイタリアは嫌なんだ。
これまでに多くの人々が理不尽に叱られて来たに違いない。


ミケランジェロの彫刻習作がどこかの美術館にゴロゴロと転がっていた。
驚くような大きさの肉体が大理石にきざまれたまま、途中で放棄されている。
人間の失敗作を眺めているような、倫理に反するものを見ている感覚があった。
あれは恐ろしいものを見た。


もう、あとは書くまい。しんどくなってきた。