友人の一人が「自分は体育会系ですから」と言った。
この言葉の背後には自己防衛システムがあると思えた。
彼は優れた頭脳をもった人物である。
考えない安全性は、きっと考えたことを受け入れる容器のサイズによって
どこかで遮断弁が落ちるように設計されている。


水やガスの系を設計する際に、この弁があることは
システムの維持管理には賢い仕組みだと思う。
考えない、分からない。その選択は不思議な知性があると言えばあるのかもしれない。

文化と抵抗 (ちくま学芸文庫)

文化と抵抗 (ちくま学芸文庫)


批判が煙たく見えるとするならば、
無意識に拠り所にしていたそれぞれの世界像を
突然、頼りなくさせられるからとも言えると思います。
暗黙に保って来たトランプの城が
批判によって、突然図式を変えられて、配列がシャッフルされ、
新たな構造体を作りなおしながら時間は経過していくようにも見えます。


イードの批判はちょうど、異端審問にかけられる天文学者のように思えます。
ベツレヘムで壁を見たことを思い出します。
あのコンクリートの高い壁は、硬質で非情なものに見えました。
私よりもいくらか若い兵士は、なにを考えてあそこに突っ立っているのだろうか。
本書はその時の記憶が蘇るような本だった。