ヨルダンの衣類市場で床屋に行く。
私の好きな店なのだ。
頼んでもいないのに、タラちゃんみたいなヘアースタイルにされ、
気分がとてもいいデースー。といったところだ。


2JDで切ってもらうことに慣れると、
日本の美容院は、ふざけた取引だったと懺悔したくなる。
アラビア語で話しかけてくる亭主に、短くだ、うんと短い奴を頼むと告げると
かならず、タラちゃんになってしまう。
気分がとてもいいデースー。といったところだ。


タラちゃんになりゆく私の頭を眺めながら
髪の毛が直線的というのは、髪の毛が何も考えていないようだと思えた。
悩ましげに曲がっていたほうが知的ぢゃないか。
一向に曲がる気配のない髪たちが裁断されていくのを眺めながら
そのようなことを考えた。