イラクには街並と呼べるものがない。
が、私が街で思うのは、こちらの人は
創作性が基本的にあるのかもしれないという事だ。


壁や道路には至る所に落書きのような絵がある。
しかし先進国の落書きと異なるのは
これらの絵がサインや広告となっている点だろうか。
落書きというよりは、社会的なサインなのかもしれない。


ただ、それらがあまりに洗練されていないため、落書きに見えてしまう。
また、鉄扉や鉄のかごといったものは、よく見ると
どうでもいいような意匠がやたらと凝らされている。


一方で工事中のラーメン構造を眺めると、柱梁の断面が小さく、
またスパンが妙に飛んでいて
先進国では脆弱な構造と見なされかねない。
ただ、先進国では対外、この薄く、細くが意匠的な洗練となっているのは
逆説的に見える。


クライアントのオフィスには、タブローが数枚架けられている。
その絵は私には今ひとつ良さが分からない。


今日は現場で打合せ、防水層の工事を見る。
Soil Compaction Testでいくつか満足な数値が得られなかったので
再試験となった。地下水位が割と高いため、Compactionがよく出来ない場合、
地盤沈下につながる可能性があり、慎重に対応する。


日本の建設業界はかなりレベルが高いから日本で勉強したいんだと
イラク人は言う。測量器も日本製だった。
日本経済が萎んで行けば、こうした信頼は失われて行くのだろうか。


街にはまだ、ゴミがたくさん落ちている。
これを害悪と映らない以上、イラクはまだまだ発展はできないだろうと思う。