よくスポーツ選手が修正という言葉を使う。
この言葉が私は大好きです。
今日の自分がうまくいかないことを知った時に、
なぜかを考え、それを直す工程のことだ。
つまり問題を明確にして、それを改善する。


自己省察によって実践へ自分を走らせるような思考回路、調整の仕方を
例えば、中村俊輔イチローといったトップアスリートから感じる。
今月のナンバーはざっと見た程度だけど俊輔の個人ノートが公開されている。
試合の後にどんなことに気づいたかを書いているのがすごくおもしろい。


最適な修正方法、問題発見の精度の高さ、それを絶えず続ける根気。
イチローの問題発見の精度の高さは凄まじい。
バットの角度のわずかなずれ、足の置く位置、きっと心拍数の増減なんかもすぐに分かるのだろう。
同じ身体でもすさまじい定量化の感覚がある。
ダイナミックな運動の軌道を完全に掌握している複雑系の関数だ。
しかし、厳しさを言語化してしまうとそれがフィックスされてくるという問題もあるだろうと思う。
スポーツ選手の身体の調子のようなスピリチュアルな感覚と連動しながら、問題を修正するところに面白みがある。
言語化ができないのにそこに問題を感じ、それを直す。
文書で項目にして打ち出すことができないところがおもしろい。


製図の試験まで丁度一ヶ月となった。まだあるようだが、今の状況からすると時間がない、危機感ばかりだ。
案外RC、SRCは分からないでも図面は描けるけど
木造軸組は正直まだまだ無理だなあとか思う。
前にも言ったけど、熟知している人の図面は、本当にすばらしい。
スケッチが相当美しく、そのラフな線の背後に重層する用件処理の知性があるので
そこにしか引けない強さとラフさのギャップがいいのだろう。
こういうまとまった勉強はアトリエだとどうしても見よう見まねでしかできなかった。


組織の人間たちは、鉄骨階段の講習会や設備環境の勉強会などを開いているところもあるらしく、
正確な原理を体得できるメリットがあるようだ。
こういうものには積極的に参加したほうがいいだろうな。


ちなみに隈研吾設計のサントリー美術館の鉄骨階段。
バックの一本が出てしまうが、今改めて見ると、かなりキレイなデザインに見える。
こういうものを見るとやっぱりデザインはあるなと再確認する。