今日、正式に学科試験合格の発表があった。
基準点が97点になり、合格率は19%ということだ。
基準84点と囁かれていたのだが、大幅に上がった。
試験の難易度に関わらず、合格者数は対して変わらないようだ。
製図の試験でさらに60%がふるい落とされる。
ので大体合格率は8%。それほど難しくはないが、容易ではない。


建設業界の情報誌を見渡すと、ぷんぷん不況な匂いがたちこめている。
歴史的とよく言われる自民から民主への政権交代
国の財政引き締めのマニフェスト通り、公共事業の予算削減が行われれば、
今動いているプロジェクトも頓挫する可能性は高い。
そうした不安が建設業界には漂っているようだが、
土建業会の労働者を苦しめても国の再生には繋がらないのではとか思う。
それほど今、国政はよろしくないという事か。


梓設計も四国でコンペに勝ったそうだが都内本社はここ最近音沙汰がない。
出入りさせてもらっていたときも、仕事がないとブツブツ皆つぶやいていた。
久米設計がいくつか勝っているけど、勝つ空気にはどんな秘訣があるのだろう。
広尾にもでかい病院があったし、道玄坂にもビルがあった。自由ヶ丘にも新しく商業施設が工事中だ。
ここは景気が良さそうだ。
スーゼネの記事はどれも施工に関するもの、鹿島に続いて竹中も解体技術を開発したそうだ。
ものをつくることに対する閉塞感があると宮台は言っているけど、確かにそう思う。
運良く竣工した建築は、それほど気張っているものにはなっていない。
日建設計の仕事の完成度は図抜けている。
建築メディアを見れば、同じ建築家が同じプロジェクトで同じ事を言っている。退屈だ。


帰りに宮崎浩主宰のプランツアソシエイツの仕事を見る。
押縁が少し細いかなと思ったがまだ仮囲いに覆われているので今ひとつ見えず。
柱の位置やインテリアに見える木部など色々やっているみたいで竣工したら見学したい。
その近くに清水建設設計施工の仮称代官山プロジェクトがあった。
地上階ファサードのDPGが明らかに滑っている上、矩体の見付を細くしているのが相当やぼったい。
日建設計みたいなデザインを清水がやるとこうなる。
デザインコードの制約とそれでも全体性へふらついたデザインに見える。これならバフバフで設計したほうがマシじゃないか。


広尾にある前から気になっていたミドリ安全社の本社ビル
どうやら三菱地所設計の仕事らしい。花崗岩のルーバーとスカイライン、鉄骨の欠き方など凝ってる。
ただ、花崗岩の石の模様の密度とルーバーのピッチが少し濃すぎるような気もする。


そういえば、銀座で交詢ビルというのが結構おもしろかった。
横河工務店設計の仕事の改修でデビッド・チッパーフィールドがやっているそうだ。
設計は清水建設、中は過剰なデザインでおせち料理みたいだが、階段の手摺立ち上がりがおもしろい。


こうみると、槙総合計画事務所設計の広尾ホームズは水準が違う。
以前からこの集合住宅は勉強していた。
8x8.5のS造フレーム。3つのコアと柱梁の出ないフリープラン。
この端正な計画が30年前にできており、今も瑞々しく屹立しているのは驚きだ。
ボンタイル吹付がなんでこんなにキレイに見えるのか。
開口のプロポーションと全体とのバランス、強い建築家像を感じる傑作だと思う。