有栖川宮公園で軽食をしていると鳩が群がってくる。
誰かが新たにベンチに座るとそちらに群がっていく。
なぜ、こんなことに苛立っているのか分からない。


ぶくぶくに太った鳩を見るとひどく気持ち悪いものを見ているような感じがした。
明後日の方角を見ていながら、餌が来るのを待っている感じ。
ボクはそんなことには興味がないと言いながら、それにしか興味がないような


一羽、飛んでくると次々と遠くからオレもオレもと寄ってくる感じが
たまらなく嫌らしいものにみえてしまう。
アルフレッド・ヒッチコックが撮った「鳥」を思い出す。


手に持っていたフライドチキンがとても食えるような気分じゃなくなる。
こんなことでナーバスな気分になるのは、久しぶりである。
広尾という街が持っている高級感が心地よかったのに、広尾の底辺に鳩を見つけてしまった。
平和の象徴というからには、戦時中には鳩はいなかったのかもしれない。



戦争写真を見ているとそこには、「生きる」といったことや「人」が写っている。
軍服を着てライフル銃を肩にかけた男がカメラに笑みを浮かべている。
何をやっているのかしらないが、時間が生け捕りにされている様子は、生々しい。