東工大は、必ずしも図面が揃っているわけではないが
それでも中々おもしろい図面集がある。


今日、まじまじと見ていたのが
ルドルフ・シンドラーのものである。
これは私は初めて見たが、かなり分量のあるドローイング集である。
ほぼ、全てが住宅で、マコトに美しい図面ばかりである。
設計はやっぱり、図面の美しさにあるなあと、しみじみ思う。
こういう昔の人には、私たちはもっと敬意を払うべきだろう。
ただ、丁寧とかそういうもんじゃなく、分厚さがたまらない。


論理的整合性があり、部材をよく知っているだろう人が描いているので
実体感が強い。
すばらしい図面集である。

世界美術大系という講談社から出ているものを眺めた。
内容は、「原始美術」である。
美術や芸術といった概念は18世紀に形成されたとあったから
この原始美術ってのは、すでにヘンテコな言葉だと言える。
内容は世界各地の太古の民芸品、民具であり、
アフリカや東洋のお祭りなんかのお面や剣、人形のようなものが写真で掲載されている。


大英博物館古代エジプトやインカといった、
インディー・ジョーンズに出てきそうな宝石や人形、仮面を見た時も血が騒いだ。

人形など人をスケッチしてもこんな形には中々なるまい。
抽象化のほうが先に造形言語として成立していることに驚く。
人体をいかにスケッチしようとしても、こうはなかなかならない。
近代に発見された抽象化の作業は、彫刻や絵画においては原始の発見だったのかもしれない。
本書のシリーズで他に現代美術があるけど、驚く程つまらなく見える。


本書に岡本太郎がテクストを寄せている。
バクハツの彼である。
目があって鼻があってほっぺたがある。それが顔なのに
ふくらんでいそうなところが、思いっきり陥没していたり
穴が開いていそうなところが突出していたりと意表をつかれ、太郎は興奮している。
まさにそんな感じで、見ていてギョッとする。
人をスケッチしていてたどり着くような造形感覚ではない。


白に黒が目ん玉なのに、逆だったりする。
顔は神秘的な表情なのに、身体はコケティッシュなほどちっちゃかったり。
皿みたいに湾曲しながらへこんでいる顔面
なんという瑞々しさだろう。
現代はそうしてみるとあまりにもソフィスティケートされ汚染されている。