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毎日毎日、なじられ、蹴落とされ、敗北し続ける男であろうか。
彼はレッキとした戦士であり
その表情は無垢である。
スーツはうなだれ、革靴はすり切れている。
彼はそれでも形式化が進行する社会の中を戦っている。
トウキョウで働くということは、おそらくはそういう暗黙の了解がある。
やっていないのであれば、そこへつけ込み相手を揺さぶる。
戦士たちの表情は、この一瞬だけ昇天するのだろう。
彼女が関心のあるのはケータイのモニターだけであり
その手の甲ほどのスクリーンで表情が歪む。
彼女は美しい鞄の持ち方をしていることに気づいていないようである。
熟女にして、官能的であるこの女性は
育ちの良い生活をしてきたであろう、大らかな表情をして眠る。
ときおり、指で歯をいじっている瞬間だけ彼女は現実に戻る。
彼女はフィンランドの失業者といった感じの色彩で身を包む。
見た目からすれば、相当いいセンスをしている。
彼女は幼い目をしているように思った。
妙に目が綺麗でぞっとした。
彼は眉間に皺をよせることでここまでやってきたのだろう。
難解な哲学書を紐解いているような険しさがある。
眉間に皺とは、自己防衛術であろうか。
彼女はうなだれている。
パーマの取れかかった髪の毛を垂らしている。
髪の毛がごわついているのが傍目からでも分かる。
洋服は一体、何着もっていて、着回しているのだろうか。