「坐る男」


速く描くことを意識している。
シャッターを切るように対象を絵になってしまわない内に紙に移すことを意識した。
絵になる時間を与えると対象と時間が開いてしまうので
ストロークが対象と分離していまうような気がした。


盗み見るスケッチは、そうしたスリルから由来している。
と思って、Giacomettiの素描を見ると、鳥肌が立つ。
彫刻家の素描を集めたような本があれば、見たいなあ。




日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉 (岩波新書)

日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉 (岩波新書)

藤森照信 著

太田博太郎の日本建築序説に感銘を受け
なら日本近代建築序説を書いてやろうと考え、
主観と憶測の楽しみの入り交じった歴史を書きたいと
藤森はあとがきに記している。


本書は明治から戦前の初期モダニズムまで駆け抜けている。
伊東忠太長野宇平治武田五一横河民輔、渡辺節、野口孫市、後藤慶二村野藤吾
アントニン・レーモンド、前川國男
これらの顔写真が掲載されているだけでも流れがうっすら見える。


文脈の中で見ると、マヴォバラック装飾社はかなりいかれている。
村山和義らのダダイスティックな運動は強烈で、思わず吹き出してしまった。
今和次郎らのバラック装飾社、考現学がここで取り出されており、
彼らが見たものが現代の我々にも共感できるものがあることに驚く。


ちなみに上巻では
清水喜助、林忠恕、立石清重、ジョサイア・コンドル、ベックマン、エンデ
辰野金吾、曽禰達蔵、妻木頼黄、片山東熊、山口半六の写真が載っている。