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「鞄を抱えてうつむく女」
もう少しじっくり描いてみる事も必要だなあと
感じたが、目でスケッチに対象を保存していくので
スケッチを見ると彼女が復元されていく。
大英博物館である。
帝国主義の戦利品を公開している。
一線を超えている感覚がある。
フォスターによる改修は、鑑賞者たちの影を消すことであった。
まさしく均質な光と言えるが
帝国は人の影も奪ってしまうのかと感じた。
このスペースにいる人物をレイヤー別にオブジェクトとして取り出せるような軽さがある。
展示スペースのドラマチックなライティングと強烈なコントラストを作り出している。
帝国は我々から影を奪ったと言ったが、
言い方を変えれば、均質な光をアーカイブに加えたとも言える。
あらゆる時代を生きた人々の影を奪っていく空間として
ここは、アウグスト・ザンダーのポートレイトのような視線を感じる。
http://www.masters-of-fine-art-photography.com/02/artphotogallery/database/august_sander_17.jpg