「ADDICTIVE TENDENCIES」

Tubby Hayes quartet
Tubby Hayes(ts) Mike Pyne(p)
Ron Mathewson(b) Tony Levin(ds)




私の家は駅から少し遠いところにあるマンションの二階で
私の部屋は南に面しており、いつも明るい。
今日のように明るい日にふとんを干すと寝る時が楽しみである。
太陽に当たると布団は、さわやかなになって帰ってくる。


布団を干しながら、じんわりと日光浴をしていると
一階の庭に目がいく。


下の住人は昔、大きな屋敷に住んでいたらしく、何かでこちらに移り住んで来た。
その時に持って来たものだろうブルジョワな彫像などがベランダに置かれており、
お紅茶など呑むような白いイギリス庭園風の家具が置いてあった。
昔はおばあさんが一人で庭の手入れをしてあり、様々な植物が小さな庭に上手に植えてあった。


しかし、おばあさんが亡くなってまもなく、庭の植物が伸び放題になり、荒れはじめた。
不思議なのは、植木鉢やテーブルは倒れたりしているわけではないのに
植物の手入れ一つで、その場所が荒れ地のように見えているということである。


人もきっと、庭のように手入れを怠り始めれば、昔のようにはいかなくなるだろうと思う。
毎日、友人や家族、恋人や知り合いには手入れをし、それぞれで「庭」を保つものなのかもしれない。
そうした庭に明るい日光がさし、植物たちが心地よさそうにしているのはなんともポー的なホラーを感じる。



きっとこの太陽と皮肉は密接な関係を持っているに違いないと思う。
ヒのヒカリにあんまり当たっていない人はどこか、湿った布団のような「くらさ」が残るのである。
そうしたアイロニックな文化からアヴァンギャルドという風土が醸成されていくのも何か分かるような気がする。
抑圧され歪んでいくのである。
イギリスから生まれた前衛に爆発力があるのは太陽と関係があるのかもしれない。


手入れを怠りはじめ、庭が荒れてくるとそこには自由すぎる楽園があり
フラストレーションのない快楽を享受しはじめる。悪夢ともいえる。
健全さとは、フラストレーションを感じる身体があることなのだと思ったりした。