「職人と近代」
著者 初田亨


「建築を趣味とする人びと」
著者 熊倉功夫


洋風建築の技術伝播において大きな役割をもったものに
職人が各地を渡り歩く「西行」というものがあった。
大工にしてみれば、自らの技術を学ぶためであり、
結果としては、新しい技術を地方各地へ伝来していくことになるようだ。
今でも、建築技術のとくに関心があるものとしては
模型を製作する技術である。
これは現在では下っ端のする仕事と位置づけられているような感もあるが
どの材料で作るかで、実物の意匠の枠組みにも大きな影響を与える。
学生時代においてもそうやって作るのかと関心してしまうこともあり、
それぞれが、独自の最適な技術を持って製作している。
この点ではCGの技術もそうであるが、こちらは案外書物として出版されているきらいがある。
石油価格が高騰していれば、スタイロが妙に高くつくとして
異なるもので作ったり、あまりに貧しいため、コピー用紙で作ったりするような話もしばし聞く。



数寄者という、なんか美学に一寡言あるような大金持ちが
どの程度、建築の意匠へ関与してきたかを知る事ができ、
小堀遠州と大工の棟梁がどのようなネゴシエーションを取っていたかを
垣間見る事ができる。
おもしろかったのは、造園の当たりである。
木や石でいいものを探しにいったりするそういう、部材の選び方が
現在でも生き残っている部分もある。
柿の木を植えることが、農村文化を背負っていると見る事ができるのは
なるほど、木一本のおもしろさを感じる。