何かを見て、いいと思ったことを採集していくと
きっと、素敵な標本ができてきて
他の人もそれを見て、いいと思えるようになれば、
それは言語化を待ち望んでいるのではないかと思う。


路地がいいとか、バラックがいいとか、溢れ出しがいいとか
時間を感じさせるものがいいとか、
そういうものって、見てやっぱりいいんですが
僕らもそういうもの、見つければいいんじゃないかな。


東京の地霊(ゲニウス・ロキ) (ちくま学芸文庫)

東京の地霊(ゲニウス・ロキ) (ちくま学芸文庫)

鈴木博之 著


つまらない数冊の本を売って、化けたのがこれ。
嬉しいってこういう事を言うんだなと思った。


ゆげのように漂う歴史があり、いつもどこかに付着しては離れていく。
ここでは一つの土地という拘束を与える事で
思想や観念では接続されえなかったようなものが突然隣り合わせにされる。
都市を考えるって、こういう射程だったのかと、目からうろこ。
思想がゆげならば、土地はチンチンに熱をおびた面のようである。
熱くなったフライパンで歴史が焼かれていくようだ。
巻末解説の藤森と石山のものが対照的でおもしろい。


新宿御苑の構想に関わった福羽逸人という造園家がいたらしく、
コンドルの岩崎邸の庭園もかれがやったという。
彼が構想していた、代々木御苑と新宿御苑をくっつけるというは、
誠に驚かされるものである。