「建築と機械」
著者 鈴木淳

「デザインの誕生 ー「工芸」への批判的距離」
著者 田所辰之助

佐野利器論」
著者 藤森照信



本書に収められている論文はどれも非常におもしろい。
鈴木の「建築と機械」では、産業革命による技術の本国への移入が
建設業界と機械製造業界でどのように行われたかを見ていく。
物自体が流通する機械製造業とは異なり、
建設資材は技術を持って国内で生産され建設された。


「デザインの誕生」においては、
ムテジウスがイギリスからの帰国から工作連盟設立までの期間の側面を見ることから
それがどのような思想を醸成し、工芸学校というカリキュラムへ繋がったかを見る。
その後、具体的な生産として、ベーレンスのAEG社での電気製品の造形原理を例証している。
ベーレンスらが目指す工芸芸術が、「芸術」批判の回路を内在されていたからこそ、
のちの近代建築の、モダンデザインの展開へと繋がっていくとまとめている。


佐野利器論」では、佐野が構造理論からRC導入、東京の都市計画事業と
日本の建築界へいかに貢献してきたかが示されている。
構造理論がない中で、建設が進んでいた当時を知る上でおもしろい。