今日は、空気調和設備の学習をした。
この冷凍サイクルの仕組みは
空気を圧縮したり、膨張させて
水蒸気に気化する際の、潜熱を利用して温度差を作っていくわけだが
おもしろいのは、位相の異なる状態で熱交換が行われているところだろう。
世にもお下劣なものでも、熱を持っていれば
たちまち、熱交換できる。


熱は過去に宿っていた記憶を持っていない点で
すぐれている。
だが、坐ろうと思った座布団が
先の誰かの温もりで暖かくなっていると
こうはいかない。熱交換以上に、何かを私は受け取っているのである。

「初期工業化のもとでのイギリス建築」
著者 佐藤 彰 


「都市計画の誕生と都市計画思想の展開」
著者 越澤 明



前者では工業化の到来における、鉄の使用は
外見上露なものだけでなく、伝統的な様式建築にも応用されており、
そこでの隠微な鉄の使用に注目し、工業化の浸透を視覚化している。
鉄だけに限らず、タラコッタやスタッコ、モルタルによる石の再現や
木造のモールディングの規格化など、近代を様式建築の工法から見ていくのは非常におもしろい。
伝統様式を纏った建築が工事において、クレーンをしようしたことや
ラスキンやモリスの批判の対象となった工業化を
一式請負業という近代化から、新たな視点で提出している。
中でも、ユニバーシティ・ホールを
仕様書、契約書などから子細に追っていく辺りは充実している。
最後には、ピュージンが「対比」の中で記している原理と衝突するような
当時の建築事情を知る事ができる。


後者は、題目の通り、都市計画がいかにして発展してきたかの概略を記すもの
エベネザー・ハワードの「田園都市」を実行した人物としてトーマス・アダムスに光をあてる。
詳しくは分からないが、マンフォードが紹介したハワード像によって、解釈されている都市計画の
背景を示したようであるが、小生は不勉強のため、この辺りのギャップはよくわからない。
欧米を追った後、明治以後の日本の都市計画の展開を記している。
関心があるのは、都市計画を行う際に、どこがどの金でそれをやるのかという点である。
近代初期のような御上から令が、地方分権化が進み、各自治体が現在では権限を持っているようである。
昨今では、民の資本でより大きな開発を行う場面も非常に増えて来ていることまで綴っている。
都市計画の話でおもしろいのは、運営主体がどう変遷し、
それによって都市計画の持つ枠組みがどう変わって来たかだろうか。
かつてのヒロイックな権力による都市計画のイメージを持っていては都市の事を考えることが
ピンぼけしているのかもしれない。