健康といったものは実は病気を定義することで、
病気ではない状態をさしているように思う。
健康って概念がすでにネガティブに決まっているように見えるのはおもしろい。


病気に具体性があるように思えるため、そうした健康観が考えられるが
はたしてどっからが病気なのかというと明確なのだろうか。
分かりやすい例で言えば、精神病という世界は
その分野が広く認められるようになってから
異常に発症例が多く報告されるようになったという。
つまり、今まで名付けられずにいた状態が名付けられた瞬間
病気になっている。


体のほうとしては、異常さを探知し、ダウンしていくのだが
どこかで、これは病気であるという認識が働いているのではないかと思える。
風邪をひいた身体は、病でありながら
極めてインドアな感覚、体内の中にいるような身体になる。
これを記憶をたどれば、少しばかり心地よかったようにも思える。


健康な肉体と病気の肉体はそれほど、違ったもののようには思えない。
ウィルスが発見されたり、血を吐いたりすれば、アラートを発動するのだ。
建築も雨漏れが起こると欠陥をもった建物だと鑑定されるのは
少しこれに似ている。


だからといってこれに反抗する気は毛頭ない。