世界と食卓

僕たちは、いつもこれまで通りであることを
当然だと思っているが、果たして。
操縦桿を握っているのは
自分だと言う事を忘れているのではないか。


百年に一度の世界恐慌を今私たちは迎えている。
というのに、手前味噌な話をし続けているのはいいのか。
俵総一郎によれば
こんな時代に自分たちが
遭遇したことに興奮するとさえ言っている。
そんな興奮を持って世界を眺めなければならない。


前の百年に一度の世界恐慌は1929年10月、
ニューヨーク株式取引所での大暴落で露になった。
ブラック・サーズデイと呼ばれるものだ。
全世界で失業者が4000万人をこえ、1932年には29年に比べて
工業生産は約30%、世界貿易は65%も縮小したという。
各国は大恐慌から身を守ろうと動き出す。


フランクリン・ルーズベルト大統領は
ニューディール政策で市場に政府が介入して立て直しを行った。
大規模な失業対策、公共事業、社会保障政策によってアメリカ国民を
保護しようというものだった。


イギリス帝国はイギリス連邦と改め、各自治領に地位を認め
協力をとりつけながら、連邦内に特恵関税制度というものを設ける。
世に言う、ブロック経済によって関税障害を設けて恐慌に対応する。
この手の政策によって経済をコントロールすることが今後予想される。


フランスでは人民戦線内閣が成立し、労働者保護へ向かうが
労働者を守れば、資本家が抵抗するようでわずか二年たらずで総辞職となる。


スペインでも人民戦線内閣が成立するが
フランコらが武装蜂起し、内戦へと至る。
この内戦では、ソ連が人民戦線を、ドイツ、イタリアがフランコを支援し
国際紛争へとなっていく。


ニューディール政策ブロック経済の対応は各国で採用されるようになるが、
自国で賄えない日本やドイツ、イタリアは、いよいよ「ファシズム」への道を歩み始める。
世界恐慌での損失を回復するために軍需を当てにする国も多く、するすると
第二次世界大戦へとはまり込んでいく。


都市中間層と言われている人々の不満が増大していくことで
新たな政党、政策を求めるようになり
1920年国家社会主義ドイツ労働党ナチス)は、急速に勢力を伸ばしていく。


ビッグ3への資本注入が撥ね付けられた。
大きな視点では何を語っているのか。
地方労働者を支えている自動車産業を守ることが
どういう意味なのか。
トヨタの赤字は今後各業界に地鳴りのごとく響いていくだろう。
政府が民間に介入したとき、
純粋な意味で資本主義は凍り始めるように思える。


失業者の増大は、政党不満に繋がっていく。
国家の管理が正常に機能しなくなっていく事がある。
派遣切りを批判している労働者は、より大きな損失を見ていないといけない。
安全な場所などあるのだろうか。
国家か、個人かの違いこそあれど経営者なら誰でも
自らを守ろうとするのが自然だろう。


アントニオ・ネグリによれば、
大航海時代に成立していった帝国主義の終焉から
新たに迎えたグローバル化によって「帝国」が生まれたという。
「帝国」は、脱領域的、脱中心的な支配装置だと言う。
経営者が自国だけは守ろうとした時に、
「帝国」はどんな顔をするのか、
私たちはその証人になるのかもしれない。


首相の漢字の読み書きを批難するようになった事は
国民が自民党へのクエスチョンの現れである。
憲法改正の先送りは、少し不気味である。
いよいよ危ないと思った時に、9条改正すれば
それは宣戦布告と同義ではないか。