夜の飛行

飛行を続ける為には
羅針盤、観測器のチェックを怠るなかれ。
雲行きが見えない時こそ集中力を上げないと。
サンテグジュペリを思い出すなあ。



地獄の黙示録 特別完全版 [DVD]

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フランシス・フォード・コッポラ 監督作品


なぜ。殺したのか。
ベトナム戦争アメリカ国民に何を強いたのか。
アメリカ国民に大きな影を与えたベトナム戦争での敗北。
この鬱積するような闇を描いたと言える。
多くの点で本作は、黒澤映画や三島文学に通ずるものが
あると言える。


1945年にポツダム宣言により終戦
その後、多くの敗戦国の植民地が次々と独立へと向かう。
帝国主義の崩壊だとしばし、言われる。


ベトナムは真っ先に独立へ動いた。
その後これを押さえ込もうとするフランスは
ラオスカンボジアを巻き込みインドシナ戦争へと発展するも
ベトナムに破れる。ラオスカンボジアは独立が認められたが
フランスに代わってアメリカがベトナム独立を妨害。
1962年から「ベトナム戦争」が始まる。


本作でフランス人の家族との食事のシーンでは、
ルーズベルトがフランスを追い出そうと
ベトミンへ援助を行っていたと言う。
戦中、日本がベトナムへ進出している中
日本との対立関係であったアメリカが
ベトミンを支援していたのだ。


三島と黒澤に魅了されたコッポラが
日本の思想で持って、
日本から独立しようとしたベトミンとの戦争を
アメリカ人である彼が描いた事はとても複雑である。


私たちは、国際情勢についてあまりに無知すぎるとは言えないか。
鬱積した暗闇を私たちは、全員が抱え込んでしまっている。


世界史再入門  歴史のながれと日本の位置を見直す (講談社学術文庫)

世界史再入門 歴史のながれと日本の位置を見直す (講談社学術文庫)


世界史何か。
そんな難しい事は、考えれば考えるほど、わからなくなる。


ルネサンス期に成立したと言われている古代、中世、近代の
三段階の歴史の区分けを西洋中心主義であるとし
昨今ではより広い視野での歴史が問い直されている。
どちらにせよ、歴史とは勝者の歴史であった事も
注意しなければ、ならない。


世界史はではどこが軸となろうというのか。
西洋、東洋がどうしても軸となる。
だが、マクロな視点を持つために、世界史は有効である。
なんらかの偏ったコンテクストを持たずして
意識する事はまだ困難なように思われる。
私たちは昨今、起るクーデターが何を意味しているかも
考えようとしない豚である。


本書でもあったが、帝国主義の終焉により世界の把握が困難になった。
一昔前であれば、西洋があり、東洋があり
中近東、アフリカ、南米、オーストラリアもあるという見方だった。
これはすなわち、植民地制の廃止、独立宣言によるものだと言える。
多様性、多義的といった言葉がもてはやされたのはこの時代と言える。
多くの歴史家がいうように、歴史とは国家に幽閉されて語れるものではない。
たくさんあるものが相互にどう共存していったかを捉えなければならない。
インタラクティブや共生といった言葉が使われるようになった。
世界把握にその時代性が現れ、下位にまでその視座は浸透していっている。


世界把握の言葉はますます進化しているはずだ。
とにかく、読書して考えよう。


齋藤助教授の家
清家清 設計


東京工業大学からは、逸材が輩出されている。
この清家は谷口吉郎に学び、彼の下から篠原一男、林昌二、林雅子らが出ている。
篠原一男の下からは、坂本一成伊東豊雄
そしてアトリエワンへと繋がる。


この仕事は、木造平屋建てでテラスを介して中庭と繋がる。
二畳のキャスター付き移動畳を設けている。
「厳格さ」ではなく、「柔和さ」を感じたのが印象的。
非常に小さいが当時の日本モダンを引っ張っていた。




同潤会 上野下アパートメント


1923年の関東大震災を機に建設された集合住宅。
日本初の本格的な公的住宅供給機関として同潤会は設立された。
耐震、耐火を求めてRC造で建設されたことも有名だが
こちらは、前例が既にあったという。


共同施設として建設され、共同トイレや屋上ベランダが
現在も使用されている。
昭和の匂いが強烈に漂っている。
上野下アパートメントは最上階に中廊下があり
階段室が上で繋がっている構造になっている。
老朽化は見た目にも著しく、建て替えの計画があるらしい。


同潤会アパートメントとして現存するのは、これのみという事。
銀杏の木が美しかった。