マーケティング・リサーチ

http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_08wyeth.html
アンドリュー・ワイエスの展覧会が東急グループBunkamuraで開催されている。
まとめてワイエスの絵を見るのは初めてだ。
細かい部分を描いている事は、彼が絵を描いた環境を想像すると
その細かさが描くべき対象に見えたのだろうと想像する。
その細かいタッチが少し異常なものに見えたのが今回の印象。
もっと、優しいタッチだと思っていただけに、ヘビーな感じを受けた。
どす黒い雲を空の開けた場所で見た記憶が
蘇ってくるような、不吉なものを感じた。



「現代性」という皮膚感覚は
現在、生きている人なら当然持っているだろう。
しかし、無垢の状態において
裸で「時代」に接触出来る時期に人格形成が行われた人ほど
「現代」を強く体現していると考えられている。


つまり、それぞれ世代によって人格形成を経た時期は異なるために
「現代」を最も表象している世代がどこかにある事になる。
しばし未成年や二十代がそれのように言われているように思う。


しかし、現在壮年期を迎えた人たちにとって、
今後、高齢者として扱われることは、未知であり
その時点での自分への視線や扱われ方に対して
無垢にまた返り咲くことになるのではないだろうか。


そう考えれば、「現代性」は、未知に接触するときに現れる挙動と
繋がってくると言える。
「現代」を体現しているのは、
今生きている人全てだとやはり言えるのではないだろうか。


芸術表現にもそうした時代性があるが
それは誰の意志によるものなのだろうか。
どう考えても、今のおじいちゃん世代が今の表現を採用しているようには見えない。
表現から考えるとやっぱり、若い世代が時代を牽引する表現をしているように見える。


しかし、私はそう見えることが、「現代性」が商品化されたように思えてならない。
若い人たちが行う表現、知的活動、関心領域をマーケティング・リサーチし
それらによって、リプロダクトされたものとして、現在目の前に立ち現れてきているように見える。
そういう視点が、雑誌社の特集を組み、私たちの目を矯正していっているように思える。
インターネットは、そうした意味でリゾームの外を意識的に見るチャンスでもある。

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パーヴェル・クルシャンツェフ 監督作品


来た。
すごいのを引きました。
アドレナリンが溢れてきます。


「金星もの」っていうのが、
あるらしいとは聞いていたがまさかこれほどまでとは。


ひどさを完璧に支配している傑作だと思う。
しかし、B級への眼差しを越えてそれを凌駕するような
厚みがあるように思えた。
なんという意志の強さだろう。
凄まじいセンスの集大成。今年はこれに出会えて良かった。



たまに、見たくなる。
また見て良かった。