我が愛すべき植木鉢たち


ロンドンの植木鉢から
私に一通の手紙が届いた事から始めよう。


書面には26日に彼女、と言っても植木鉢だが、は書いたとある。
私は偶然にもその二日程後に
彼女に手紙を送ったのである。


仮に郵便ポストに入れた瞬間から
手紙が大空を飛んでいったとすれば、
私たちが出した手紙たちはシルクロードを下に眺めながら
中国の奥地で会釈くらい交わしたかもしれない。


E-mailが手紙を模倣する時に明らかになるのは、
送信クリックとともに、
紙ヒコーキを飛ばすように手紙は相手に向かって飛んでいくという事。
手紙をポストに入れた瞬間、大空を舞うと連想するのは
いささか、突拍子もないことでもない。
これは郵便夫は大空の一部を担っているということを示している。



大学時代の奇妙に私に目をかけてくれている植木鉢と
今日話した。彼は私よりも大人である。
人と話す事でそんなことを考えていたのかと自分が驚くこともある。