日記

ミースの本を読んで
シカゴに行ったときの写真を見直そうと思った

自分の写真の下手さに愕然した。
なにも見てなかったと言ってもいいくらいだ。
凍てつく寒さだけが伝わってくるような写真だが
間違いなくそこにはミースの建築が映っている
そのことがせめてもの救いである。

デジカメになってからか
写真が雑に撮影されるようになっている
フレームに対しての感性がもはやなくなっており
単なる記録、まさにスタンプラリー化している

何を撮るにしろ、もう少し神経を使わなければ
これはあの頃よりはマシになった証拠だろうか。
昔の自分から学ぶことは多い。


木 (平凡社ライブラリー)

木 (平凡社ライブラリー)

本書は
檜、欅、松と始まり延べ20種類の樹木について
白洲の深い洞察による軽いエッセイ集である。

朴(ほおのき)は無口で無愛想で孤高の存在と白洲は言及しているが
どんな木だと思っても
すぐに木のイメージが沸かない自分が
いかに文化的でないかを思い知らされる。

本書では牧野富太郎の植物図鑑を随所に参照し
その由来や木の性質を述べているが
こうした博物的な知識に本来はもっと皆親しむではないか

レヴィ・ストロースの野生の思考の冒頭での
野蛮人たちの持つ知恵について読んだときも感じたが
野生、原生に対する私たちの位置が明らかに異なるフェーズに進んでいる(退化している)
それゆえに本書のような樹木の含蓄に触れると
未熟さを知り、とても文化人だとは宣言できそうにないと思う。

ミース・ファン・デル・ローエ (SD選書)

ミース・ファン・デル・ローエ (SD選書)

1886年3月27日ドイツのアーヘンに石工の第五児として
ルードヴィッヒは生を受けた。
本書はミースの生涯を風のように通り抜けて
彼を概略的に知ることができる。

本書6章からなり
?はじめに
?1886〜1918(0〜32歳)
?1919〜1926(33〜40)
?1927〜1937(41〜51)(37年アメリカに移住)
?1938〜1958(52〜72)
?1959〜1969(73〜83)
と年代に分けて構成されている。
鹿島出版会は相変わらず、訳が硬くて遅々として読むのに苦労した。

学生時代にアメリカへ行きそこでミース建築を見たことを思い出す。
友人にはそんな青い頃にミース見ても分かりますか?
と問われたことを思い出す。
無論、ここではブルノやバルセロナは除外しての話だろう。

本書を通して記憶をめぐらし、
特にレイクショアドライブの高潔さは私の中で未だに強度を保ったままである。