木橋 (河出文庫)

木橋 (河出文庫)

昨年の10月に永山則夫による本書が河出書房から新装出版された。
殺人罪によって97年、死刑執行された著者が
刑務所の中で執筆したのが本書だという。


紡がれる文字が、刺さるように入ってくるのは
上述の背景によるところが大きい。
木橋、土堤、なぜかアバシリの三点が収録されており、
それらの中で綴られることは、互いに重複している部分も多い。
書かれるべきことがすでに凝縮されているのだと思う。


冷静に自分を見つめ直している箇所に至っては、
それがまるで冷静でもなんでもないようで、読んでいてつらいものがある。
描写そのものは、よくできた小学生の感想文のような印象を受けつつも
引き裂かれるような気持ちが残る。