より激しくなっている人間はいなかった。
どこかへ去っていったのだ。


シカやウサギが木の実を探しては頬張るような
小さくて弱い生き物のようだった。
目の前の合理、秩序に対して従順で、
大きな原理に抵抗できないようなそんなつらさがあった。


私は子供を生んでいてもおかしくない歳に今ある。
育児が俺にできるのかといった意味不明の恐怖、興奮を想像するとき、
私なら子を怒鳴り散らすような男としてありたいと願う。
「ゲンコツ」を喰らわせたい


怒る技術を開発し、筋の通らない抵抗を見せ付ける事が
生き抜くことなのではないかと。
液晶パネルを滑らせ、情報を摂取する肉体へ
理不尽な怒号を与え、震え上がらせるような怒りをいかにして
製造できるのだろうか。