ブタペストからプロペラ機で乗り継ぎ、プラハへ向かった。
眠りから目覚めると、ブルンブルンと唸るエンジン音ごしに静かな空気の気配を感じ、
はっとして、外を望むと積雪に耐え忍んでいるチェコが目下に広がっていた。


中東から東欧のコントラストの鮮やかさに招き入れられたようで静かな興奮があった。
ほとんど凍っているのではないかと思えるような黒い硬質なヴルタヴァ川と
ダークグレーの空に挟まれた街で、フランツ・カフカはいたのかとプラハに着いてから知る。

カモメの荒れるヴルタヴァ川にかかる橋と周囲の城壁、ルネサンス期から蓄積されてきた建築群が
いやでも文化の成熟を経験した街だと感じさせる。
カフェではうまいコーヒーがのめる、なんという贅沢だ。
ハムやチーズ、パン、ヨーグルト、ピッツァ、ワインにウォッカといかにも東ヨーロッパ。



強行で組んだスケジュールだったために、カフカクンデラも知らず乗り込んだプラハ
私はクラシックを聞いてみた。チェコアヴァンギャルド建築を見にいった。
チェコを貫く電車に乗りながら南にあるブルノへ行き
テューゲントハット邸(部分的にしか見れなかったが)を訪れた。


このヤナークやれゴチャールやれのチェコキュビズムの一派がデザインした食器も興奮が手伝って買ってしまい、
なんというか完全におめでたい状態へと逝っているわけである。
チェコは冬と春が劇的に違う街なのだろうと、街にある華やかな装飾を眺めていて感じる。