緑の家(上) (岩波文庫)

緑の家(上) (岩波文庫)

バルガス・リョサによる物語
アマゾンを代表として捉える南米のイメージは
まさに地球の真裏にあるものとして私の中にある。


それは自分の所在がたとえ、東京からバグダッドに移っても
変わる事は無い。そんな彼岸のようなイメージが
リョサの筆致によって少しずつ、編み込まれ
やがて大きくうねる生地へと精製されていく。


建築のスポークスマンが物語と口走った際に感じる、
脂っ気は、こと小説家にはない。
透明な物語を書き貫くような迫力があるのは、彼が物書きであるからだと思う。
彼らは虚構を構築し、真実に肉薄するか、むしろそのものに成り代わろうとするのに
対し、建築は真実を構築するがゆえに、何を語ろうと虚構じみたものに陥っているような
ジレンマがあるかもしれない。


個人の記録としての文章と異なる文章を書き連ねて行く
圧倒的な創造力
指先がタイトにタイトになっていくかに見える若者たちを見ていて
この壮大さに包まれているジカンは、幸福である。