ヤシの木みたいな樹木がそこらじゅうに生えている。
不思議な乾いた表情で
瑞々しさなんてまるで無いんだけど、こういう生き方があるのかと
夜道につっ立っている様子を眺めて思う。


すると変わった斑をもった猫が
こちらに物欲しげに歩み寄ってくる。
銀色で豹のような柄だ。
物欲しげな割にどうやら臆病で、私が動くたびに逃げる。
好奇心でもあるのだろう、私を影から見つめてくる。
貴殿は中々、いい模様をお持ちのようですな。


砂が舞い上がっているからか薄らと緑色になった夜の静けさの中
奇妙な遭遇に少し得意気な気分になる。