漱石の「こころ」を読んでいる女性と
お酒を呑んだ。
この人の顔には、どこかしら屈折したものというか影が張り付いている。
話すと思ってたよりは、どこにでも転がっているようなことを言うのだけど


憂いに満ちたような表情はどこからやってくるのだろうと
不思議な気持ちで見ていた。
人の顔は、いろんなものが去来した痕跡と思うと
この表情は何がそうさせたのでしょうか。


顔のつくりに興味がなくなると
表情の源泉が知りたくなる。
おどけたことを言ってみたり、深刻になってみたり
話をしながら、表情の変化を観察していた。


なにを話せば、石がコツリと音をたてるのだろうか。