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父に一枚の澤野工房から出ているCDをプレゼントした。
今度はこれを聞いてみようというような、そうした好奇心を
父に伝えたかったのだと思う。
まるで知らない世界への好奇心は、ストップさせてはいけない。
- 作者: 須賀敦子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/10/05
- メディア: 文庫
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「さくらんぼと運河とブリアンツァ」
「マリア・ボットーニの長い旅」
夜、軽食を済ますとまっさきに、この本の続きを読み始める。
ミラノを頂点として、コモとレッコを結ぶ線を底辺に逆三角形にひろがる地域を
ブリアンツァというのだそうである。
マリア・ボットーニとは須賀が航路はるばるジェノアに着いた時に
迎えてくれたイタリア人の友人である。
彼女の経験によって、偶然引き寄せられていく人々、地域、物、作家。
そうした全てが、優しく、優雅に描かれているのが彼女の文体の特徴だと思う。
起っていることは、今朝わたしがしたような事だし、友人も私の友人とそれほど変わらない。
成功者であったり、平凡な人だったり、
でも、彼女たち(彼らと言ってもいいが)は、各自が固有のスタイルを持って、生きているように描かれている。
スノッブなことを言う男だったり、皮肉を言わずにはいられない女だったり、
いつも恐れを感じているように見える男でもいい。
どういう人でも、ここに出てくる人たちは、その時、著者と共に生きている感触が伝わる。