スタンリー・キューブリック 監督作品


キューブリックは、
ボクらの世代であれば、通過儀礼のようなものであった。
大学生=キューブリックの等号が成立する。
他にもいろんな監督がいると知りはじめると
彼の存在が希有なことに気づき始める。


本作は、いわゆるキューブリック観とは
ほど遠く古典的でありながら、経済効率の良いものになっている。
時間軸が交錯した構成でありながら、クリアに伝達されている。
こういう映画で見ている側が自分の位置が分からなくならないように
上手にランドマークが示され、人物を際立たせている。
印象的なショット、何度も使われるロケ地では
同じアングルで撮影することは非常に大事な事だと感じる。
経済的でありながら、雄弁である。


競走馬をパンで撮影していくシーンは本当に素晴らしい。
ゴダールが嫉妬しけなした映画だというが
このシーンのことをとくに言っているのではないか。


ロスト・イン・アメリカ

ロスト・イン・アメリカ


青山真治
阿部和重
黒沢清
塩田明彦
安井豊

稲川方人
樋口泰人 編著


樋口氏による冒頭の説明がわかりやすい。
70年代のハリウッド。
スタジオシステムの崩壊とジャンル映画の緩やかな消滅。
「激突!」「ジョーズ」「2001年宇宙の旅」が作られた
この時期辺りからの話である。


アメリカ映画の産業化」で片付けられ
映画史は「黙殺」してきたこの現象は
間違いなく今日の私たちの「身体」に今日性をもたらしている。
それについて、少なからず、考えるきっかけになる。


ジョーズ」は、何度見てもすばらしい仕事である。
この映画制作時、スピルバーグは27歳だった。