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今日、書棚の整理をしたが
これまで自分が読書を怠って来たことを痛感し
深い自己嫌悪に苛まれる。
なんだこれっぽっちだったのかと。


膨大な書籍に囲まれた巨匠たちは、
きっとほんとはちょっとしか読んでなくて
本をいっぱい持っているだけだと信じたい。
確かに図書館や古本屋のような場所は心地が良い。
あくまで建築的な意味であれだけの書籍があると
読書は実はそれほどしていないだろうとやはり信じたい。


図書館で借りて読めれば構わないと開き直っていたが
やはりこうした書籍整理の時のために
書籍購入をしておくのも一理あるかもしれない。
読んでない新品の書籍ほど自分を圧迫するものもないのだが
読んだものは、自分を少しばかり勇気づけてくれる。


聞けば、司馬遼太郎は開いただけで
その頁を肉眼で撮影しあっと言う間に記憶していくという。
私は一頁一頁、指先でなぞるしかできないため
圧倒的に速度が違うのは当然だ。
知性が高まれば、それくらいできるようになるのだろうか。
今の私には想像もできない。


夢十夜 他二篇 (岩波文庫)

夢十夜 他二篇 (岩波文庫)

夏目漱石 著


漱石の短編で計らずともにやけてしまう描写の一つに
顔の造形描写があげられる。
これにはいつも、にやけさせられる。
短編の「下宿」が傑作で
じっと、その人の顔の造を眺めている漱石の変人ぶりに
愉快な気持ちになる。


人はみな、そうとうアヴァンギャルドな造形をしているものだろう。
なんか読んだ記憶があるが
人の足はかなり、変な形をしていると思う。
指が生えているだけで、相当不気味である。
抽象化された身体において、足の指は大体消去されてしまう。
手の指にくらべれば、奇怪なものなのは明白だ。


耳がでっぱているのか、そうでないのか。
鼻の穴はきちんとしたサイズなのか、ちがうのか。
目の感覚は正確なのか、そうではないのか。
頬の骨、鼻筋、眉間、おでこ、もみあげ、あご、くびすじ
美人の定義を変えれば、おもしろいじゃないか。