都市のイメージ 新装版

都市のイメージ 新装版

ケヴィン・リンチ 著
丹下健三
富田玲子 訳


古いハードカバーで読んだ。
中々の耐久戦となったが、非常に読みやすい。
本書はジッテから60年近くたった1959年に書かれている。
ジッテがヨーロッパであったのに対し
リンチはLA、ボストン、ジャージーシティアメリカで縛っている。


都市論は、その時々の都市がどう迎えられているかで
その論理的手順が異なってくるように思う。
ここでは、「イメージ」が採用されているが
変化の著しく激しい時代において、この言葉が何かを停留する。
イメージでは実際上の都市とは異なり
非論理的に描かれているにも関わらず、シークエンスは保たれるという
捉え方が印象に残る。


環境のイメージを意味、アイデンティティ、ストラクチャーに分解し
意味をひとまず放っておき、形態に特化していることがサッパリしている。
都市のイメージを5つのエレメントに分類し、
その効用を一つ一つ紐解いていく。
現代の都市論は、どうなってきているのだろうか。


眼の隠喩―視線の現象学 (ちくま学芸文庫)

眼の隠喩―視線の現象学 (ちくま学芸文庫)

多木浩二 著


全体に渡って、クリアなテクストである。
順序立ててあり、少しずつ核心部へ
歩み寄っていくスリルがある。
「趣味のユートピア」と「椅子の身体学」が
とくに興味を持った。


椅子の歴史を権力の象徴としての
玉座」からはじめている。
椅子が持つ構造的変化が意味することを
身体の鋳型として捉えているところがおもしろい。


マルセル・モースの「身体技法」からいくらか引用している。
例の「身体」について考えさせる。
「身体」を道具として扱っており、
それを使って私たちは、時代を生きている。
「身体」を客観的なものとして捉えることで
見えてくるものが、このテクストでは明瞭に描かれている。

American Music: Photographs

American Music: Photographs

定本木村伊兵衛

定本木村伊兵衛