けちゃっぷ

けちゃっぷ

喜多ふあり 著


「イタイ」人格としてHIROが描かれている。
自分の考えていることをケータイで
ブログにアップして自分を更新していくHIRO
目の前にいる相手に対してもケータイで応答する。


終始沈黙している彼女が
ブログ上でアップされるテキストは
とても明るく、批判的なつっこみに満ちている。
「と私はブログに書き込んだ。」
というフレーズが何度となく使われている。


けちゃっぷは、血の事だ。インターネット上では
過激な内容を好む傾向があり、しばし残酷やエロへと向かう。
しかし、その血としてのけちゃっぷは、やっぱり血ではない。
そういう血じゃないものとして使われるけちゃっぷに
おぞましいものを見ようとしている事が鋭いと思った。


「イタイ」や「しょっぱい」という言葉が
持つ意味って中々表現しにくい。
第45回文藝賞受賞作らしい。


成熟の後に来る退廃なのだろうか。