あいうえお

僕は貧しかった
と自分のことを話したい人は言います。
過酷な労働環境だともよく聞きます。

こんなときに
どれくらい貧しいか、厳しいかがその後説明されるだろう。
武勇伝形式である。
納得なせるためには多少大げさに言ってみたりしているだろう。

君君、ぼくなんてあれこれだ。
などといった小競り合いが始まるのです。

私はひどくその手合いが嫌いである。
ああそうですか とだけ言ってろくに興味を持たない。
相手が傷つかない程度の無視を試みようとする。
だがときおり、自分でもそんなことを言っていることに気づき
げんなりする。

元住吉にいるバーテンが私は好きである。
彼は元住吉にいる話をきいてほしい人の相手をし続けただけに
それとの距離が冷たくならない程度のクールさがあっていい。
数少ないかっこいいと思う人です。