赤坂

赤坂にてHFと会談した事を記す。
表情はとても明るく、充実した日々を送っている様子だ。
前途有望というか、ほとんど悩みのようなものはない顔つきである。
公私にわたっていい環境にいるのだろう。


大手ゼネコンでの仕事内容はあまり話せなかった。
ライフスタイルをどうアレンジしていくかを
先輩たちを見て考えているようである。


彼女は将来設計にぶれがなく、明確である点で
他の誰よりもしっかりしている。
反面、他の人が持っていた必死さがあまりないのが印象的である。
進歩的な人間の生活イメージが彼女にはあるのかもしれない。
原始的な私には少し手応えがない。


彼女はとても読書家で色々とインチキインテリ話を
お互い楽しめた。こういう話ができる人はこれからとても貴重になる。
今後彼女は、ドイツへの留学を検討しているという。
語学の勉強をするだけの余裕も環境もあるそうだ。
国から給付金は案外歳を重ね、実績があれば取りやすいという。
彼女が考えるには、仮に結婚し、出産をする場合
女ならば、産休を得てチェンジするチャンスはきっと到来する。
きっかけは、自動的に発生するので、プランは持っていたいということだ。


彼女は、ものをデザインする手よりも作る手のほうに
魅力を感じているのだそうだ。
印象に残る発言に、建築は所詮テクノロジーだ、そんな感じのことを言っていた。
建築よりも主義主張を発信するようなものという捉え方ができることを
目指していくのかもしれない。これは私の推測にすぎないが
I教授の思想を引いているようだが野菜を育てたり
枯れ木を集めて火を起こしたりとソロー的生活を営む知識人
そんなイメージがあるように思う。
とても育ちがいい考え方をしている。
同じ言葉を他の人が吐いたとしたら冗談に聞こえるが
彼女の場合、冗談というよりも手応えがないように思える。
背景がこのディスコミュニケーションを生んでいるのだろうか。
品のよさが不思議な感触を生んでいるように思う。


今むちゃくちゃおもしろいもの。
なんとか一つ拵えて貰った。
博物館で見た時計だそうである。時計の話をいくらか教えてくれたが
博物館に私は興味を持つ。美術館には行くのに
あまり博物館にいかないのはなぜなんだろうか。
これはちょっとおもしろいテーマのような気がする。
博物館は、そもそも、色々な地方にあったものを移動させてしまって
いいのだろうか。大英博物館ルーブル帝国主義的な性質につながる。
博物館は、きっと私が求めていた何かのネジレがある場所かもしれない。


なにか主体的な権力がものを手繰り寄せていく。
川崎民家園は、民家が持っていた背景を剥奪したテーマパークである。
コンビニは、どうか。百貨店はどうか。動物園はどうか。
気持ち悪いものばかりに見えてくる。



話すことでイメージをもらった。
大きな渦に大きなマストを張ったヨットは巻き込まれていく。
そんなイメージだ。ぐるぐるしながら、どこかへ行くんだろう。